本日の詩

詩なり詩なり

221019

みんなが好きっ てわけじゃない ものが好き 三月のわらび 四月のふき 五月のグリンピース 六月のセロリ 七月のピーマン 八月の自分 それから 十二月の春菊 今日の…

220831

空腹がひどくて 食べられるものがないか 探しているときに三角と四角が来た あいかわらず、ああでも 忘れられない端正なありかたああでもこれは食べられない 三角と四角しかないんですか 丸が食べたいんだけどそれはうまく言葉にならなくて 円が食べたいんで…

220829

わたしは昨日人間でした わたしは今日人間ですわたしは昨日人間でした あなたは昨日人間でしたかわたしは今日人間です あなたは今日人間ですか夏が終わります もうすぐ明日も来ます 息をひそめて死がすぐ横を 通りすぎる時に 気づかれないようにして わたし…

220622

ジュンサイを 英語ではウォー ターシールドと 言う今日は雨 梅雨のさなかの

220209

冬の光はあまりに弱いので 毛布にくるまる弱いままに冬の光はあまりに弱いので お湯に浸かって湯気を頬張る冬の光はあまりに弱いので 炬燵に入って眠りにつく夢からは覚めないように どこにも現実はないと仮定して押せば押すほど冷気 殺せるほど冴えた弱き光

220205

雪は 白くなるために 白くなって 冷たくなるために 冷たくなって 風に舞うために 軽くなって 儚く溶けるために 儚くなって雪はまた 白くなるために 白くなって 冷たくなるために 冷たくなって 風に翻弄されるために 飛ばされるほど軽く 儚く溶けてしまうため…

220128

地下を走って地下深くから 不覚にも地上に這い上がろうとすると 3240と17段の階段があって 僕の大中小の心臓はどれも役に立たない 息切れして代わる代わる 有給休暇を申請してくるから 自我に目覚めた近代の僕は 経済格差にあえぐ現代の僕に タクシーを呼べ…

220125

君の靴の中に どんぐりが飛び込んだ どうにかしてそのへんの 地面には落ちたくなかったからへのへのもへじの軌道を描いて 靴の中に着地した君のなめらかな髪が おりからの山風に 押し流されるよこしまな心のように たなびく間に君は膝の土を払って 立ち上が…

220123

日が渡る 天空の回廊に ばばあが一人住んでいる白い毛髪のあいだには 見果てぬ夢をたくわえて 吐息のたびに次の誕生日の 祝宴について思いをめぐらしている地球上の誰も 彼女のことを覚えていない顔の無数の皺のあいだには 胸踊る希望をたくわえて 微笑みに…

220122-2

梅の香りを夢見ている 1月のおわり春の光を夢見ている 1月のおわり冬が冬として 冬らしくふるまう 今日のような日にふさわしい行いとして 冬の終わりを 思い描くことができる はっきりと未来の輪郭は 今が厳しいほど 明確になるそのように生まれついて どこ…

20220122

朝は少しの塩と水 何かを練った団子を一握り穴の空きそうな靴で 二時間歩き 髪は枯れ草の焚き付け岩と岩の間にもぐり 息を忘れて 仕事する昼はスープと米 太陽に過去と未来を 少しずつ灼かれ もう酒を飲みたくて仕方ない爺さんが倒れて 動かなくなり 今日の…

220121

少しも空を見上げなかった 駆け回るのに忙しかった頃十代で彼は 雨は空の涙と書いた 友達は 陳腐の極みに吹き出して 彼は初めての詩を捨てた二十代で彼は 雨は水蒸気の成れの果てと言った 友達は その言い方を面白がって 彼は少し得意になりそんな 自分が嫌…

220119

沈んだ吐息が 互いの行く先をまさぐりあう 都市の横顔の 片目は涙ごとえぐられて 木の実が埋め込まれている それは思い出せないほど 痛ましい幸せの香り倒れた住民の 幸福な思い出のポケットから 散らばった夜はこうした都市の特権 等しく市民に孤独を嗜む儚…

秋たぬきマスカット風味

紙風味の巨大つぶつぶが 黎明に平明に蒙昧に芳しくこの世の書きなぐる鬼を通ってまだ無下に佇んでいるのです誠心誠意春の眠りに溺れて 徹頭徹尾夏の目覚めに焦がれてつぶつぶ煮えたぎるのです 地獄の釜に完膚なきまで 溶かされるのです今はもう秋ましたぬき …

20210730

もし生まれ変わって 穴の4つあいたボタンになっても 海のなかで頑張って 触手を伸ばして プランクトンと愛しあうことを 希望します そのときは紫色のボタンに なるように 今から紫色になる練習を 毎日2回しますもし生まれ変わって 雷になっても 晴れた日は…

20200705

昨日と 違う 今日は 明日

20200619

そのうち ひとりで 生きられ ろように なるやろ死ぬ時は だいだい ひとりや

20200616

まる 来る まるまるまるまるところどころ まふってしながら来るさんかく 来る さんかくさんかくさんかくときどき つかれてたちどまりながらしかく 来る しかくしかくしかくああ かくかくしかじかでって 説明せずにはいられないあとで あいつも来るよ 来るっ…

20200608

ありとあらゆる ものをつくねた つくねてぬくぬく 部屋から清潔感の排除 放逸に肢体を広げる衣類 縄張りを登記する雑紙 合間で戦闘放棄した菓子袋 淫靡にならんで寝転んだ何かの瓶と瓶 脱皮するベルト 自分からは連絡しないスプレー缶 あるいは生息するレジ…

20200607

7月のビー玉に 思い出を閉じ込めて 8月の夕暮れに 庭のクチナシと柿の木の 間に埋めた しっとりした土の中に 見つけたミミズは 地面の内臓 日焼けしたふくらはぎに 何匹も飛びかかる蚊は 汗の友だち あれを掘り出して あらゆる青い草いきれ あらぬる塩っぱい…

20200606

世界が優しく破滅していくなら 桜桃を如月の水盆に 充たして ゆっくり正気を手放していこう 誰にも気づかれないやり方で カピバラの目付きで世界が優しく破滅していくなら 内腿に刻んだ音符を 水無月の気団に転送して ここのパッサカリアは 空の魚より美味 …

20191215

それからすっかりひとりになって 夕焼けの小径を夕暮れまで歩く まわりには誰もいなくて おそろしいけれど ここを行く明けない夜はないというのは 回りくどい嘘で ここからはもう ひたすらに 闇ばかり

20190708

そういうわけで小魚たちは なななーと歌いながら 銀色の針のからだを ぴんぴん流れに 突き刺して 流れを 波に 縫 止める よし今度はあっちに行ってみようぜ

20190707

うのつくものを 丑の日に 食べると いいんですってんころりん うなぎ うし うま うさぎ うわぎ(うわき?) うのはな うめぼし うつのみやぎょうざ ういろう うき草 うらわかき乙女 うれい うんめい うつくしい人 あるいは うわばみ それでは 大暑に入道雲の下…

20190430

赤いものは 赤い味 口ではちきれて満ちる いちご トマト クランベリー さくらんぼ 赤のすぐり 紫がかったすもも 黄のものは 黄色によっては 黄色の味かみしめると光る マンゴー かぼちゃ あんず でも レモンや パイナップルは 白い味 緑のものは 緑の味する …

20190428

うほほ やすみ やすみ 夜ふかして 悪いことする 日曜日 誰も 知らない 海では鯨も泳いでる

20190423

へへへ 黄鶲が焚き火に見えた 午後3時 道路の拡幅工事も 終わり 4月の下旬は 5月の始まり

20190422

生まれるといえば 死に感染するというわけで ところが不幸なできごとを 引き寄せないかぎり ほとんどめったに 早々と発症したりしない それをいいことに すはまを渋茶とゆっくり 嗜んだり 今年こそは手製の 切干大根を作ろうと 意気込んだり 人によっては お…

20190415

ぬばたまの黒き頭の コーヒーとこれしきの 数式ついに腹に堪えかねて 鍋敷の下敷きになる 風呂敷にピロシキ包み 人目ひそんで川べりをゆく 蝙蝠の心とは裏腹に 金色の光あふるる 敷島のくまなく春にくまなく春に ああもぐもぐうれしき春に なりにけるかも

20190403

まりる 誰にも見つからないように 隠れておいで このはこの中に 大丈夫 君のことは 忘れない ときどき来て 必要なものはあげるから まりる そこに君が 隠しておくのが すべての悪事を 免罪する もちろん最大の悪事は 君をそこに 閉じ込めておくこと 大丈夫 …