2023-01-01から1年間の記事一覧
にゃーと鳴き うーと唸る にゃと鳴き うと唸る あと、夜の秋
待て待て 行きは良いが 来てしまったら もう戻れない 退くことも 止まることもできないこの先は ただほの暗い 両側から囲まれるような道ひとすじ
まえにもどこかで書いたにちがいないが きっとわたしは生という病にかかっていて 先がもう長くないにちがいないのだ だから誰とも会わずに誰とも話さずに 日がな他人の競技を傍観することに 勤しんでいるのだ 他人はありとあらゆる競技に心を尽くして スポー…
コンが ペイと トウと出あって そうだね みんなで トウペイコンだ そうして 三人でお茶を飲んで小さな濃い味の お菓子を食べたよ 次の日 ペイが トウと コンと出あって そうだね みんなで コントウペイだ そうして 三人でお茶を飲んで小さな濃い味の お菓子…
太陽はまだ白い顔して 光をいっぱい打ちつけている 風はいい感じに強くなって すらすらとした光の中を 小魚が水流を巻きとるように どこ吹く風に吹いている 空が手ぐすねひいて 掴みどころのない 秋の夕暮れに 風邪や物思いや 知らないところにあった しめや…
右のぽっけにどんぐりみっつ 左のぽっけにどんぐりいつつ 転んで涙がこぼれても ぽっけのなかにはどんぐりやっつ
もし靴ひもが蜂だったら そんなに遠くへ行かないで 迷子のふりして さぼるけどな 今日のところは もし蜂が棚だったら そんなに約束はしないで 旅の途中で 迷子のふりして 泣くけどな もし棚が今日だったら そんなに遊ばないで 薬を飲んだら 迷子のふりして …
それからずっと欲しかった刀で 空のはじっこを削ぎ落として 涼しい秋の公園の 楽しい駆け足の靴に隠す これが前からの望み もう良くならないとわかっているから ずっと欲しかった刀で なだらかな肩のはじっこを どこから来たのか忘れて つぶつぶしている砂っ…
がりがりとかじるんだ ひとんちの 庭に咲いたサルビアのおしべと めしべ 植木鉢の傍らにある 軽石 躊躇なく行け 中途半端に破れた 網戸 鍵の壊れた物置の とびら 薄暗がりの不安 かじれ かじれ がりがりと 噛み砕け 寝転んだ床の埃 隙間に逃げ込む野ねずみ …
あんなにも苦しくて その先にはなにもないように見えた なにもかもが手探りで まいにちの望みがまいにち絶たれているように 思えた 今のことにもこれからのことにも これまでのことにも すっかりと疲れきって 昨日までの絶望の連続に 今日の絶望が積み重なる…
今日水たまりに虹が落ちていてその虹を拾おうとしたら長靴が脱げて空が跳ね返って行ったよ 風が笑ってた 気づいたら虹は逃げてしまったよいつに?来年の夏の方に おかげで少しの青空だけだほらこの左の長靴に隠れているのは また雨が降ったら寂しくて呼ぶん…