本日の詩

詩なり詩なり

2014-01-01から1年間の記事一覧

20141230

バスルームベイビー 非現実な君 振り返ると鏡に 映っていた君は 居なくて、そうだ とぼけた午前2時の まやかしをまた見た 明日会いに行くよ 映画館に薄暗がりの 中に君が座っていて 非現実な夢を 共に見ているかも しれない バスルームベイビー 何も終わらな…

20141226

ぼくはどこにも行かない なにわにははにわが今も いっぱい埋まったところが あるって言うそこにはちょっと いってみたいと思うでも そんなとこにもう行きたくない お父さんも行ってしまった お母さんも行ってしまった 猫も行ってしまったじっさいは ドア開け…

20141222

良かったらお茶でもどうですか エゾノワカバがこう言った いや、結構ですと俺ことわった まあ、遠慮なさらずに、すぐ 淹れますから、どうぞ一杯 エゾノワカバがこう言った いや、結構ですと俺またことわったそしてまた俺は同時にやや 憤慨して ここ俺のうち…

20141221

そこに誰かいる? いないの? いないね? いないのね? いないなら いないって 言ってよね いないなら いないなりに いるなら いるなりに こっちだって 誰もいないんだ いなくたって そっちのこと こうして 気にしてるんだ まるでいるみたいに 聞こえるでし…

20141220

世界があなたに微笑むとき あなたは白い花に埋もれて 横たわっている すでにその目は閉じて その先の物語を誰が語る? 寂しい世界に雪は降る

20141218

私はいつも海の記憶に戻ってゆく 冬の夜の闇の中で風が鳴る 鯨はこんな時も重い波に尾を もたげ潮の中で風の音を海の 中に吹く風の音を聞いているの 私はどの鯨も知っているしどの 海も知っているただこんなにも 風が集まって束になって吹く夜に 私の知って…

20141207-4

父さんねずみはくるっと回って どこもどうだか変わりない姿を どうだとどうながお腹を見せたんだったらどうながおなかはよこながおなかふくふくなんか詰まってら 白こねずみと黒こねずみたち 鼻ひくひくさせてうっとりした ああ父さん何食べたのお祭りで か…

20141207-3

たてにはねたりよこにはねたり ななめにはねっとんではねっかえったりして 父さん収穫祭くさかった? はさみ神社にはさまらなかった? こま犬に食べられなかった? ばか食べられなかったからここにいるんだろ? 狸にしっぽかじられなかった? みんな一緒くた…

20141207-2

いやいやまったくこのこたちったら このこのこねずみ白ねずみったら 黒ねずみったら あんたたちこそこそこそ 近づく犬に狐に油揚げに鳶に 鮫に食べられちゃったの脳みそを そんなふうだといまに人に さらわれて窮屈な檻に閉じ込められて おかしな薬を打たれ…

20141207

ある秋の日の秋の国秋の町 空き家の空き屋根空き屋根裏で 白こねずみ三匹黒こねずみ二匹 こぢんまりとした小手毬もようの ぬくぬくベッドからもくもく出る 出てきてお母さんねずみがいて お父さんねずみがいなくてみんな びっくりマークみたいに跳ね伸びて …

20141017

君は何部? 僕は夕方部 夕方を待ってる 君は何部? 僕は夕方部 僕は夕方マニア 色々な夕方を集めに 世界中を旅するのが夢 夕日を見たり、 夕暮れに憂鬱になったり、 夕顔の花さがしたり、 夕食の香りかいだり 僕は夕方マニア 夕方部員

20141016

近づいて来たりんご、秋 食べられようと そして太郎を見つける 太郎の足元に落ち、落ち 落ちようとする やがて太郎は行ってしまう 戻ってくるのは 太郎の犬、追いかけて くるのは誰 知らない人、彼女を りんごは見つけ、 手の中に落ちる りんごは運ばれてゆ…

20141008

人食いパセリが 人を食っているらしい パセリの原には 誰も近づかないらしい 自殺願望のある奴が 近づいて パセリに 食われて死ぬのは どんなものかと わさわさ茂るパセリに 身を投じたらしい それからひらひらと 蝶の群れがパセリの 上を飛んでいた 君の食…

20141003、いやもう3でいい日にち間違えたり法隆寺

あ、ども、はじめまして こんにちは、わたくし、 あなたというものです。 あ、あなたの紹介をして みました、ええ、ちょっと。 あなたはどなたでしたっけ。 あなたは、わたくしの 紹介をしてくださるんですか。 え、あなたもあなたの紹介を したい、つまり、…

20141002

わたくしがぼーっと 詩など書いている間に わたくしがもっとぼーっと 詩など書いてない間に あなたは何をしているのだろう まさかぼーっとわたくしの 詩など読んでいたりいなかったり ぼーっとカタツムリやナマケモノを 誤解していたりはげしく 自分が価値あ…

20141001

渇いたと思ったのは 気のせいではなかった 道の向こう側には 柘榴が転がっていて それは昨日までの夢 渡り切る前に近づいてくる さっきまで見えなかった車 幻でないのはもはや太陽だけだ たった今それが愚かさに 溶けながら道すら見えない そして渇きだけが…

20140929

病よりも 悪よりも 死よりも なお悪いもの お前の名 を何と言おう お前に蝕まれるのを 何よりも恐れるもの 髪の中に羽が透けた 薄青い蝶を隠して ごきぶりに埋もれた 貧しい木の階段の下 新聞をたたんで ひからびた手首には 真珠の幻 やわらかな思い出と あ…

20140928

夜がまた来た 大好きな夜が 暗さと 静けさと 朝の 空気をすでに はらんだ 夜が来た 夜風よ 君の匂いは 明日に対するわたしの 傲慢さを どれほどやわらげて くれることか 闇の重さよ 孤独の代名詞よ 君の圧倒的な稀有 かけがえのなさが どれほどなぐさめて く…

20140922

やあ秋 君を感じてる 朝の空気に 虫の鳴き声に 風に 空の色に お臍に 踵のかさかさしたところに カルメンの再読に そうだ 今度コートを着て回る コーヒーハウスに行こう

20140917

町外れに砂漠がある 何もない砂以外には だから誰も来ない なのに店があって さびた看板がかかって いる薄暗い店では何を 出す気があるのか 知らないきっと客など期待 していないし私もなぜ そこにたどり着いたのか わからない、いや他に 休めそうなところが…

20140914

秋の夜の 私は何か する人ぞ ため息の ちょい やさぐれて おつむのお皿で 霧合成や せむと 生まれけむ

20140913

ましてやそよ風ちゃんが 寝てしまったながらも野分 親分はまだシマを立ち去りがたく 朝めし前にひとっふきつら ふきつらねてくれたおかげで りんごは地面をのたうちまわり 小さな子どもは木から盗まなくても よくなった もっと小さな子どもはぶどうを拾った …

20140910あじにふぐ

小あじどもの中に カニャカルがまじっていて 人間どもに食べられそうに なっていたというのは なかなかに語りつがれる 一件 あいつらしい最期と言えば 最期だがふらふら泳ぎまわった 挙句、この世でもっとも始末の 悪い奴らの姑息な網にて塵埃に 満ちた陸に…

20140909なにやら豊作はふ

秋の日の 日のくれないの フルスロットル 真芋里芋 小芋親芋だらだら芋 撃ち抜いてやや ぬめる やるせない ミニマムマキシマムハート

20140909おちぼ

いいのいいの 詩なんだから 詩らないで 詩まぐれに 詩て詩まったって 遠慮詩ないで 詩の詩むまで 詩っかり詩て 詩くじったり 詩ても気に 詩ないで! 気に詩んな!

20140909

松の木 松の実 松の耳 月の木 月の夜 月の耳 波に木 に気に 記に期 に来て 秋に飽 き泣き 空き無 き鳴き 鳴き虫 すず虫 ごま虫 まめ虫 かめ虫 へび虫 うさう さうさ 虫うさ ぎ来て 来て松 よいこ 宵よい 子お月 見きみ この木 の実着 のみ生 のまま あれま …

20140906

おい田中お前の書いた請求書の数字が 全然違うせいでおれが取引先に どれほど怒られたことかこのへそを 見ろへそのゴマを取れ悪いと思うなら おい田中お前の書いた見積書の数字が 全然違うせいでおれが取引先に どれほど叱られたことか去年から 何回間違えれ…

20140905

雨が君に降って幸福かどうかを 考えてみる必要がある件 雨は君のしょぼっくれた肩に ぱしぱし落っこちたいなんて 木洩れ日ほどにも希望してない かもしれない 雨が木洩れ日に嫉妬してるかって それは別件 君が雨が降って幸福かどうかは ただ感じれば良い件 …

20140902

今日ぼくを松葉杖が訪ねて来て どうもその節はお世話になりました と頭をさげたぼくはそんなこと全然 予想していなかったしあんまり頭が ぼさぼさだったし、昨日風呂に入らず ソファで寝てしまったまま、起き抜けで 冷蔵庫には玉子しか入ってない まさか松葉…

20140832

車検の代車で もくもく雲が ほんとに来たって かみなり雲や めざし雲は ちょっと困る と 言っておいて 良かった この雲に卵焼き のっけて ドーナツ のっけて 朝ごはんしながら 会社行こう しばらくの間 ああ、明日、 晴れるかな