本日の詩

詩なり詩なり

2011-01-01から1年間の記事一覧

20110208-7

(続き) どこからともなく現れる 緑のかえるの医者を訪ねて欲しいと 思っているのです。 薬はもちろん機器もなく ナースもいないクリニックですが かえるの言葉はひどく臓腑に落ちて 彼といると、何もいいこと言われないのに じきにとうとう楽しくなってくる…

20100208-6

(昨日からの続き) お家に帰るまでは行けます」 と言いました これはかえるの冗談か、ただの真面目な言葉かと 判断を致しかねていると 緑のかえるは私を促して 先に表へ出しました 私はそこで私のうちの方へ かえるはかえるのうちの方へ歩き出し 安寧な気分…

20110208-5

(昨日からの続き) と言うのです 私が、暗がりの中で 「私の傘をお使い下さい」 と言うと かえるは 「私はかえるですから」 と言うのです 私は「医者ですから」と言わないのかと思って 「そんなことは知っていますよ」 と言うと かえるは 「私は医者ですから…

20110208-4

(続き) こんなことをしているのです」 と聞きました 緑のかえるは聴診器を胸から下げたまま 先がぷっくりとふくらんだ指をぴたりと 膝にあてて、 黒い目はさらに黒くなってきました への字の口はさらにへの字になってきました 私はとうとう笑い出し、 緑の…

20110208-3

(昨日の続き) それがちょっと不思議になって 「だって、あなたはみなを診察なさらないのに」 と言うと 緑のかえるはまた灯火の向こうの窓にちらっと 目をやって、そこで、私は窓に雨のしずくが 付きはじめたことに気づいたのですが、 緑のかえるはまた私を…

20110208-2

(昨日の1からの続き) 緑のかえるはへの字の口をへの字のまま じっと黒い目で私を見つめて 「そうですな。誰もみないけませんが 特にあなたはもういけませんな」 と言うのです 私はシャツのボタンをひとつずつゆっくりと はめながら 「私が特にいけないので…

20110208-1

緑のかえるは聴診器を胸から下げたまま すっかり表情を変えず 黒々とした目を黒々と光らせたまま 「もう、これは、いけませんな」 と言うのです 緑のかえるはぴったりの白衣を身につけて 聴診器を胸から下げたまま ちっとも表情を変えず 黒々とした目を、く…

20110208

'ロゴスキー'に寄す とても悲しいことがあると ピンクのババロアの夢を見るのです そこにはラフランスとパイナップルが 入っていて、ほんのりと甘く、 うるうるとした口ざわりがどこかに 面影を残したまま消えてしまった 少女の不安と決意を思い出させるので…

20100908

台風九号が来ていて 僕らの夢はかき乱されている 君が絶望的な目をして 他人の不貞を訴える時 僕は君の頬のにきびを数えている 城の側では異様にのどかで 僕らの両親は手に手に プラスチックのケースを持って並び できたての水ようかんを買おうとしている 外…

20100906

こんなにも悲しいのは 夏が終わろうと しているから? それとも 夏が終わって しまったから? あなたの夏が/わたしの夏が 側にいた 光色のねずみたちは それぞれの巣穴に戻って かじりかけのあの塊 美しい時にしがみついて 取り戻そうとしている その時の中…