本日の詩

詩なり詩なり

20110208-3

 (昨日の続き)
 それがちょっと不思議になって
 「だって、あなたはみなを診察なさらないのに」
 と言うと
 緑のかえるはまた灯火の向こうの窓にちらっと
 目をやって、そこで、私は窓に雨のしずくが
 付きはじめたことに気づいたのですが、
 緑のかえるはまた私を見つめて
 「誰もみな死ぬるのです
 と言うのです
 私は雨がとうとう降ってきて、この医者も
 医者ではあるけれど、かえるでもあるのだから
 雨がとうとう降ってきて、うれしいにちがいないと
 思うと、私はまたさらにおかしくなって、
 おかしなことに、少しうれしそうな声をして
 「じゃ、あなたは何のためにこんなところで

(続く)