本日の詩

詩なり詩なり

2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

220128

地下を走って地下深くから 不覚にも地上に這い上がろうとすると 3240と17段の階段があって 僕の大中小の心臓はどれも役に立たない 息切れして代わる代わる 有給休暇を申請してくるから 自我に目覚めた近代の僕は 経済格差にあえぐ現代の僕に タクシーを呼べ…

220125

君の靴の中に どんぐりが飛び込んだ どうにかしてそのへんの 地面には落ちたくなかったからへのへのもへじの軌道を描いて 靴の中に着地した君のなめらかな髪が おりからの山風に 押し流されるよこしまな心のように たなびく間に君は膝の土を払って 立ち上が…

220123

日が渡る 天空の回廊に ばばあが一人住んでいる白い毛髪のあいだには 見果てぬ夢をたくわえて 吐息のたびに次の誕生日の 祝宴について思いをめぐらしている地球上の誰も 彼女のことを覚えていない顔の無数の皺のあいだには 胸踊る希望をたくわえて 微笑みに…

220122-2

梅の香りを夢見ている 1月のおわり春の光を夢見ている 1月のおわり冬が冬として 冬らしくふるまう 今日のような日にふさわしい行いとして 冬の終わりを 思い描くことができる はっきりと未来の輪郭は 今が厳しいほど 明確になるそのように生まれついて どこ…

20220122

朝は少しの塩と水 何かを練った団子を一握り穴の空きそうな靴で 二時間歩き 髪は枯れ草の焚き付け岩と岩の間にもぐり 息を忘れて 仕事する昼はスープと米 太陽に過去と未来を 少しずつ灼かれ もう酒を飲みたくて仕方ない爺さんが倒れて 動かなくなり 今日の…

220121

少しも空を見上げなかった 駆け回るのに忙しかった頃十代で彼は 雨は空の涙と書いた 友達は 陳腐の極みに吹き出して 彼は初めての詩を捨てた二十代で彼は 雨は水蒸気の成れの果てと言った 友達は その言い方を面白がって 彼は少し得意になりそんな 自分が嫌…

220119

沈んだ吐息が 互いの行く先をまさぐりあう 都市の横顔の 片目は涙ごとえぐられて 木の実が埋め込まれている それは思い出せないほど 痛ましい幸せの香り倒れた住民の 幸福な思い出のポケットから 散らばった夜はこうした都市の特権 等しく市民に孤独を嗜む儚…