本日の詩

詩なり詩なり

220128

地下を走って地下深くから
不覚にも地上に這い上がろうとすると
3240と17段の階段があって
僕の大中小の心臓はどれも役に立たない
息切れして代わる代わる
有給休暇を申請してくるから
自我に目覚めた近代の僕は
経済格差にあえぐ現代の僕に
タクシーを呼べと連絡するが
そう言えば僕が階段の途中で壁に
またがって狂ったように
言わば狂ったように来るって行って
準備もできず七時間かけて階段を
よじ登る(階段代行業者を呼んだ)

ようやく地上に現れたときには
僕が僕の顔を忘れてきて
言わば僕が僕を忘れてしまって
それは3242と23分の19段の階段を
登りきった(業者利用)せいなのか
それとも最近流行りの忘却症のせいなのか
突然僕は途方にくれる

目の前には広い交差点
なすすべもなく立ちすくみ
次々と走り抜ける車は他人の顔
他人が他人であることはわかるが
僕が僕であることを思い出すことはない

地下の出口は地上の入り口
おはよう今日も平穏に仮装した地獄にようこそ