本日の詩

詩なり詩なり

2018-01-01から1年間の記事一覧

20180913

それからわたしが もしわたしの背中に翼がはえたら というとおじいさんが 寝るとき邪魔になるよと 言いました わたしがおじいさんに おじいさんの背中に翼がはえたら というとおじいさんが お前の背中には きのこがはえるよと 言いました わたしが悲しくなっ…

20180730

その年は悪天候のせいかほんとに何にもできなかった おばあさんは何でもいいからできますようにと毎日毎日たぬきの置物にお祈りした すると畑一面をおおう大きな大きなかぼちゃができて 他には何にもできなかったからおばあさんはおじいさんと いっしょにそ…

20180729

ひとさじの ご指導もご鞭撻も必要ございません 窓の脇の空き缶のサマーフェスティバルにわらわらとあつまった勢力を催している人々のようなひと悶着を 私の代わりに地下のゴミ置き場に 投げて来てくださいむしろ ひとすくいの ご同情もご共感も不要でござい…

20180720

そんなスタッカートに トラのパンを切って しましま模様を こちらに向けると ひげたちは ひとかたまりになって ふる雪 くるガキ 後腐れ と叫んで逃げていきました 残ったトラのパンに ひげのなくなった バターをバタバタつけて 食べました こぼれたパンくず…

20180716

ううう すぽんっっっとぬけちやつた あんなにしつかりとはめあつて いたのにあたまのねじのあそこ この暑さで暑さの暑の字の日と日の あいだのしつかりななめにささつた ながいながいあそこのとこみたいな あたまのねじがカムチヤツカツカレた ううう だから…

20180714

さよなら歴史の皆さん 今日からきしきし きりぎりすが 泣き始めるまで わたしは夜と寝ることに お供の蚊遣豚はドバイに 出向し南アフリカに 出張中 皆さまにはお変わりなく 末永くお幸せに さよならまたいつか 太陽のかき混ぜた手の いい匂い、夏にとまった …

20180712

軽みを帯びた時間の 彫琢の内々のひだひだに ひそみ隠れてその長さを やり過ごそうと思っていたんだ もう精一杯やったからね 夏の闇の小指から ねじきり離れた元気な 小闇がブンブン黒き 飛行体となって、すると カナブン、君は去年のカナブンとも 一昨年の…

20180516

帰宅後に ボルサリーノと 見る夢わ、ハハ 神田ミニョンと 今日のフガフガ 帰国後に ブルスケッタと 見る夢は、ハハ 町田キットと 今日のフガフガ そちら後に ウサンクサイト 見る夢は、ハハ 丹後縮緬 今日のフガフガ これからもオレわ ロシアンブルーだ (誰…

20180515

村長の娘を名乗る女がある日やって来て つまり気づいたときにはそこにいて 村長の代理だというと 私達にこう聞いた 次のうち 何を ついたでしょう いち尻もちをついた に嘘をついた さん悪態をついた し頬杖をついた ご不意をついた わたしたちは 申し合わせ…

20180507

もう少しで サティとラベルを 忘れるところだった 枝豆の緑と通帳の赤の 間に立っている間に

20180506

えびなすレモン 銀行強盗 君の匂い 酒しょうが味醂 なかんずく 忘れられた味噌と夕日、緑の湾 干した「ごめんね」 からの、ふさふさした痛み

20180504

もちろん金魚もそのことは わかっていた 万死に値すると、それは価値のない 戒めの中に沈んでゆく 水玉模様 ゆらゆらと草の間に漂っては 時々忘れたふりして浮かび上がる どこにもはまることのない パズルのひとつのピース 午後の間隙