本日の詩

詩なり詩なり

20180730

その年は悪天候のせいかほんとに何にもできなかった
おばあさんは何でもいいからできますようにと毎日毎日たぬきの置物にお祈りした
すると畑一面をおおう大きな大きなかぼちゃができて
他には何にもできなかったからおばあさんはおじいさんと
いっしょにそのかぼちゃを切ると中から
なんと何も出てこずに
中身の詰まったいいかぼちゃだったから
それをさらに小さく切り分けて家に持ち帰り
かぼちゃの煮物とかぼちゃの天ぷらとかぼちゃのスープとかぼちゃのコロッケと
他にも色々作った
かぼちゃのパイとかぼちゃのパン、かぼちゃのみそ汁とかぼちゃのジャムとかぼちゃのジャッキ、かぼちゃのレンチ、かぼちゃのスパナ、
毎日毎日かぼちゃを食べた
かぼちゃのグラタンとかぼちゃのカレー、かぼちゃの漬物にかぼちゃ団子、かぼちゃ歌舞伎とかぼちゃ曽根崎心中
かぼちゃサラダとかぼちゃ飯、かぼちゃの干物にかぼちゃ納豆、
食べるものがかぼちゃしかなかったから
毎日毎日かぼちゃを食べて
おじいさんとおばあさんはだんだんかぼちゃみたいな顔になった
二人でかぼ茶を飲みながらかぼちゃチャチャを踊り
かぼちゃんを養子に迎えてかぼちゃランドやかぼちゃの駅で産地直送大間のかぼちゃを買ったり
かぼちゃしか食べるものがないので仕方がなかったがさすがに
かぼちゃのクリームをのせたかぼちゃのムースにかぼちゃみたいなかぼちゃのソースをかけるような生活に
少々あきた
それがまあそのあたしが浮気をしたときの気持ちで
ほんとに悪いとは思ってるけど
あなたたち全員かぼちゃみたいに
見えてあいつはちょっとした馬車だった
彼女がそういうとみんな車輪を探し始めたが
そういうことじゃないんだと思う
それで自分は旅に出た
青春18きっぷ