2009-01-01から1年間の記事一覧
君は春の泥の中から生まれた それは君が 泥であるということを証明しない 血や水や光からではなく 君は泥の中から生まれた またとない高貴な香り 春の 狂奔の中から君は生まれた ああ、 そうだ 僕は春の泥の中から生まれた それは僕が 泥であることを証明し…
この禁欲的な秋の日に 冬を待たせて コスモスさえ香り出した 鬱蒼とした森の中で 時が撃たれた 立ったまま静止して あとは 信じがたい行為に 驚愕しながら 倒れようとしている 君の目には みるみるうちに 緑が溜まって 街の灯が全て緑だ 時が撃たれた 森の中…
すみません。なかなか新しいものをお目にかけることができず。 ----------------------------------------------------------------- 私は昨日夜一冊の ワークブックを失くしていた どこで失くしたか 覚えていない 私は昨日朝一本の 襟巻きを失くした 柔らか…
目まいと吐き気とに耐えながら 闇の中を走っていくうちに 21時間と3分が自分の中を 通り過ぎていったと気づく 24時間がこの身のうちを 背中から私を地面に腹ばいに 押し倒さんばかりにして 面のように、時間よ、君が そんな風に一枚の板のように なると…
昨日パーティーで 美しい人を見た 彼は自分が美しいと 気づいていなかったけれど あれは彼の仮装だったのかしら 人はそのようになれるのだという 希望を与えるための 言葉と態度と表情による もう彼には会えないのかしら そんなにも多くの人を救いたいと 働…
天上の最も美しい 光 自然と不自然の間に あって 漂っているときに 全てを 照らしてほしいのです 私はもう 何が欲しいのか わからなくなっているのです 手に入れたとたん それが 欲しかったかどうかさえ わからなくなるのです それを 知って 自然と不自然の…
夜の終わりに 本当の夜がやってくる 夜に底はない 曙光がさして 夜の終わりを感じたら それは 新しい夜の始まり 仮装した夜は どんなに美しく着飾っても 夜であることを 隠すことができない 彼女の顔を見るのだ 美しい色彩で 彩ることのできなかった 見間違…
紙片とチーズ 君は どんな種類のチーズが好き 私は 青い、君の好きな お皿にのったチーズが好き 夜中に 静かに コーヒーを飲んでいると 雨が かたまりのように降ってきた 明日は働きたくない 勤勉な ふりをしている 自分が嫌なんだ 庭には新しく 植えられた…
今日はもう 強くなるのは やめようと思う 涙も出ないし 声も出ない 眠ることもできないし 食べることもできない 昨日より先週より昨年より 強くなるのは やめようと思う 弱くなって 弱くなって 今日は どんな一言にも倒れ どんな視線からも逃げ どんな風にも…
毎日書けなくてごめんなさい。暗い詩ばっかりで申し訳ない。 ============================================================== はっきりとした 目標もなく 思い描いた ビジョンもなく たどりつきたい ゴールもなく 入念な準備も なかった それでも どういう…
五色の風の 五番目の色に吹かれて 風見鶏 泣いている 六色の雨の 六番目の色に降られて 風見鶏 泣いている 七色の風の 七番目の色に 風見鶏 泣いている 黒い風見鶏 あらゆる色を吸収して 吐き出せなくって苦しくって 泣いている 風見鶏 みんなお前が くるく…
あまりにも多くの美しいあやまちが あまりにもあなたの人生を美しくする あなたの生きている限り あなたの後悔が続くとして あなたの苦闘が続くとして それらをあやまちではなくするための だれかの喜びの端緒に変えるための
雨 だんだん年を取って みんなが大人になる間 私はサンショウウオになった だんだん雨が好きになった 年を取って だんだんサンショウウオになったから 雨のときだけ 外に出て行く いつもは色々な物の下に隠れている 知ってるでしょ? 世界は危険に満ちている…
水晶宮へようこそ 姫は127着のドレスを持っているが どれも全く似合わないので 128着目のドレスを仕立てさせることにした 水晶宮へようこそ 王子は254頭の馬を持っているが どれも全く乗りこなせないので 255頭目の馬を飼うことにした 水晶宮へ…
僕は出て行く 八月の中から 僕の中の少年が出て行く 夏の終わりから 九月に向かって 静けさと、夏の陽の 午後の鼓動の停止した 静けさと 激しさと、秋の風の 未明の雨との交錯した 激しさと その間で立ちすくむ 怜悧な寂しい獣性
カチドキの声を高らかに押しつけて 私を殺して サスライの嘆きで翻弄して 私の痛みを焼いて タメイキの下に跪き 私の憂鬱を潰して 月の白く赤く青い夜に 私を埋めて 片時も離さない 完き矜持、それとも追放した蛍、それは? タメイキの下に跪き 私の憂鬱を潰…
樫の木の下で会いましょう それが何か知らなくても 樫の木の下で会いましょう それがどこにあるか知らなくても 樫の木の木の実を私は持っています あなたはそれを見つけるでしょう 数え切れない樫の実を持って 私はあなたに手紙を書くでしょう だから樫の木…
しばらく無断でお休みしてごめんなさい 余裕がなくて。要領が悪くて。生きるだけでまあ精一杯。 --------------------------------------------------------- 囁き、君のナイフの それはカシミアでできているの? 柔らかく 僕の何かをくりぬいて 血は柘榴 君…
立て付けの悪い戸に片膝を立てて 一人の男が座っている 煙たく乾いた空気は光を揺らして 男の額を照らしている 男は紺の上着を着ていて 上着の襟元はしなやかに曲がっている うつむいた男は黒い髪に黄土のような 肌の色を持っている 男のズボンはひどく汚れ…
酒を飲まずに飲み会で他人の酔いに少し酔うように 幸福を持たずに他人の幸福に少し酔うことができる しかし約束は守られずいささか八月はむなしく過ぎる 残りの十一ヶ月がそうであったように、これまでの 年月がそうであったように、その約束の不確実さが 彼…
髪の中にある雪片が 掌の熱に溶かされていく 湖の底には青いカメリアが 月の光に照らされて 脆弱にして残酷 傲慢にして繊細 醜悪にして利己的 愚鈍にして尊大 家の者はみな病み 犬までも白昼に咳をする 百合だけが夜に重い薫りで 部屋の空気を段階的に 狂わ…
台所には虎が二頭
行き先を選べるというので僕は 動物園に行くことにした 朝起きて少し散歩をすると もうご飯の時間 味気ない米飯と塩辛い味噌汁 つけものはいつも二切れ お茶で口をすすぐと 今度は庭に出る 平日の今日は人通り少なく 僕はぼんやりとそれを眺めている そのう…
竜巻卵をゆでて食べるとき 強く殻を割らないようご注意ください 衝撃でかなり強い竜巻が発生し 殻や食卓のものを吹き飛ばす 恐れがあります
風をはらんで 自転車を漕ぐ 薄絹のブラウスが 風をはらんで 私は自転車を漕ぐ 私はブラウスを脱ぐ 私は自転車を漕ぐ 私の肺に私の心臓に 湿った風が入ってくる 私はブラジャーを脱ぐ 私は自転車を漕ぐ 私の胸に風が当たる 風は乳首をかわす 私は皮膚を脱ぐ …
泡泥棒め 俺のギネスの 泡だけ飲んで 泡で赤くなるなんて ひでえや 泡盗っ人め 俺のギネスの 泡だけ飲んで 泡で二日酔いなんて ありえねえ そんなんで 職場に電話 すんなや
今月の勝気なサキイカ座 ・・・ 恋愛運は行動のとき。 お墓参りに行って偶然の 出会いに胸ときめかせて。 金運はおでこに金と 書くとアップ。奇数日に 財布を買い換えてみて。 全体運は最高の状態。 町を歩けばスカウトされるかも。 橋を渡れば犬を拾い 会社…
ムキムキ雲がムキムキとウキウキ雲に向かって言うことには 「世界の勝手知ったる天下の台所来たムキムキ雲 貴様ウキウキ浮いてるだけの当たり前雲助ウキウキ雲に 世界の勝手知ったるムキムキ雲が 金のまばたき銀のまたたき三日月・流れ星杯を賭けて 貴様ウキ…
今年はもう去年のように プールに行く気がしない どこか涼しいところに 居たい気分 歩道橋の上で松葉杖を ついた高校生は友達に 語りながら歩いていく
いきあたりばったりしてたら よりにもよってよりにもよった にたりよったりのにたりによった 隔週休みの路地裏散歩道で朝顔に迷った