本日の詩

詩なり詩なり

220123

日が渡る
天空の回廊に
ばばあが一人住んでいる

白い毛髪のあいだには
見果てぬ夢をたくわえて
吐息のたびに次の誕生日の
祝宴について思いをめぐらしている

地球上の誰も
彼女のことを覚えていない

顔の無数の皺のあいだには
胸踊る希望をたくわえて
微笑みにときめく崇拝者の
横顔を思い描いている

髪が夜のように黒く
顔が月のように輝いていた時も
地球上の誰も
彼女のことを覚えていなかったのに

日が渡る
天空の回廊の端に
天蓋付の円形の寝台があって
彼女は彼女の夢だけを司っている

寝台の周りには羊たちが
ぐるぐると駆け回り誰も
羊たちを数えきれることはない