本日の詩

詩なり詩なり

20110208

'ロゴスキー'に寄す

 とても悲しいことがあると
 ピンクのババロアの夢を見るのです
 そこにはラフランスとパイナップルが
 入っていて、ほんのりと甘く、
 うるうるとした口ざわりがどこかに
 面影を残したまま消えてしまった
 少女の不安と決意を思い出させるのです

 とても悲しいことがあると
 息のしかたをとてもゆっくりにして
 悲しみから少しも逃げようとしないのです
 海に浮かぶように悲しみに浮かんで
 ほとんど木のように光を、風を、雨を
 遠い空の彼方から見つめている
 星のような小さな光となって
 銀の器に入った冷たい
 ピンクのババロアを思い浮かべているのです
 そして黒いテーブルと、柔らかなランプの光と、
 おじいさんとおばあさんの運ぶ
温かなスープやなんかを。ねぇ、だって
 いつだって暗がりなら、君、夜を
 愛するしかないじゃありませんか