'ロゴスキー'に寄す
とても悲しいことがあると
ピンクのババロアの夢を見るのです
そこにはラフランスとパイナップルが
入っていて、ほんのりと甘く、
うるうるとした口ざわりがどこかに
面影を残したまま消えてしまった
少女の不安と決意を思い出させるのです
とても悲しいことがあると
息のしかたをとてもゆっくりにして
悲しみから少しも逃げようとしないのです
海に浮かぶように悲しみに浮かんで
ほとんど木のように光を、風を、雨を
遠い空の彼方から見つめている
星のような小さな光となって
銀の器に入った冷たい
ピンクのババロアを思い浮かべているのです
そして黒いテーブルと、柔らかなランプの光と、
おじいさんとおばあさんの運ぶ
温かなスープやなんかを。ねぇ、だって
いつだって暗がりなら、君、夜を
愛するしかないじゃありませんか