本日の詩

詩なり詩なり

240223

私たちが数えられていなかったとき

私たちが数ではなかったとき

私たちにまだ番号が付与されていなかったとき

私たちは何だったろうか

私たちが免許や資格や学籍や社員という地位や年金や健康保険番号や国籍や県民や市民という名の下に管理されていなかったとき

私たちは何ものでもなかったろうか

私たちが成績や給料や収入や売上や所得や体重や身長や血圧という数字を知らなかったとき

私たちは誰だったろうか

私たちが4年や6年や3年の義務教育や3%や5%や8%の納税を行わなかったとき

私たちは何もしていなかっただろうか

貯金もなく金利もなく為替もなく額面のついた金属や紙がなかったとき

私たちは生きた心地がしなかったのだろうか

七五三もなく誕生日もなく暦もなく

成人の数字もなく定年の数字もなく暦もなく

人口の総数も分からなかったとき

死んだら生命保険の金額が

殺されたら賠償金の金額が

わからなかったとき

自分の年も知らず

平均余命も知らなかったとき

私たちは生きていなかったのだろうか

 

私たちが数でなかったとき

私たちが野放しで

まったく管理されず

不可算な存在であったとき

曖昧で不確かで予測不能

複雑で

その辺をうろうろ裸で裸足で歩いて

捕まえたり捕まえられたりしていたとき