本日の詩

詩なり詩なり

240128

そして橋の上に立つと風が

髪を飛ばしはじめる

髪は頭に根を下ろしたままどうにかして

風に巻き込まれようとする

風は私の中心も飛ばそうとする

心臓だの肺だのまとめて

まるで不要なものとばかりに

 

どこに?

私はもうありとあらゆる川に行ける

どの橋の上にも立つことができる

ありとあらゆる橋の上で

風に吹かれるだろう

風よ

私を海に飛ばしたいのだろうか

山に飛ばしたいのだろうか

けれども私はどんな風にも

吹かれ

どんな風にも耐えるだろう

橋が風に耐えるのならば

 

そしてあなたはきっと私を見つけるだろう

(街の雑踏では風も迷子になり

酒の吐息と人の壁でどこにも行けない)

そしてその広い腕を広げて

私を抱き寄せ抱きしめると

すっぽりと私は包みこまれた

 

私は夢を見ていたし

あなたの腕の中で私は

誰にも気づかれず陶酔の中で

春の苺に口づけるのだろう

何千年もの間涙を流すように

 

あなたは空を見上げていた

どこにいるのかも

私が腕の中にいることも

自分がそこにいることも忘れて