夏の太陽が私の髪を
海藻のように真っ黒く
途方もなく放恣に濡れて
節度なく揺れていた長い髪を
少しずつ黄色に変えてしまった
夜になるとベッドの下に
潜んでいた謎の魚の目魚が
闇の中を音もなく泳ぎ出して
黄色くなった私の髪の先の方を
少しずつかじっていってしまう
太陽のせいで髪がだんだん
黄色く乾いていくのは光の
つぶつぶの病なのだから
魚の目の形をした魚の目魚という
なんだか自己撞着だか自家中毒だか
その目が気になってくる名の魚が
食いに来てくれるのはむしろ喜ばしい
このままどんどん夏が黄色くなり
私が泳ぎ出して魚の目魚を少しずつ
かじっていくと闇はベッドから
起き上がり秋にはすっかり
太陽が健康になるだろう(こんな風に
世の中が回っていくのは
あたりまえすぎて
愚かな詩人でないと
書き起こす気にも
書き残す気にも
ならない)