本日の詩

詩なり詩なり

090420/23:47

手術衣を着たまま
奇妙なすべり台を
すべりおりていく

その間に犬は匂いを
たどって
町の外れがどこかを
初めて知るだろう

その間に遊んでいた
子どもたちは
居なくなった
かれらは
帰るところを
ひとつは持っているのだ

 裸足のままで
 君らを追いかけて
 町の向こうに
 行こうとしていた

 他人の家の敷地を
 通って近道したら
 君らを見失って
 はぐれてしまった
 土手をのぼりきると
 駅が見えるはず
 その先のショッピングセンターを
 君らは目指したはず

 きえてゆく後ろ姿を
 ちらっと見て
 不法侵入者のわたしは
 突然あらわれた住人に
 見つからないように
 隠れなければならなかった

すべり台を降りると
傷だらけの足で
次は奇妙なぶらんこを漕ぐ
その次はもうすることもない

手術衣の下は素裸で
夕風が体を冷やしてゆく
どこまでもありふれた月曜日