本日の詩

詩なり詩なり

20160824

しかし、とたぬきは思った
死ぬ死ぬ死ぬいよいよな苦しみ
じゃいうてもそう簡単には
いくまいぞ何しろ先だって
これより酷い苦しみを味わい
苦しみに痛めつけられ心性
外皮ともに醜くもなり蔑まれもし
除け者選り分け者後ずさりも
され脅かされいなされ睨まれもし
とうとうこんな沖つ白波の泡立つ
うそ寒い木一本草一本木の実一つ
草の実一つ生さない岩いわの崖の
ふちにまで追いやられてさっさと
ささくれ立った身にも月は照らしてそうなればこんなあほでもしみじみと悲しくなって腹もすけば白兎の耳よりもっともっと白いであろう内脚の白い毛の透けた薄桃色など思いもよらず目に浮かび業の咳など一つ二つ、三つ四つ、貌のひげにも白いものがまじり鏡も耐えないいかさま貧の病だぬき
明日にもあさってにもまたしあさってにも下りたところの神社に
参って賽銭などくすねる嘘元気も
供え物など盗みっ食う空元気も
出るやもしれぬ詩にはならねど