本日の詩

詩なり詩なり

20150224

鬼っ子がいじめられて
だって可愛くなかったからさ
鬼瓦みたいな顔して
上目遣いなんかしてたからさ
いじめられてとは言っても
ただの無関心や無遠慮や無謀な
要求にさ泣いたって誰の心も
動かせずおにおにおにおにしてるうちに
鬼嫁になってだんだん強くなって
夫だの男だの女の子だのおつりだのいじめているうちに
オマキザルだのオッペンハイマーだのオッペケペーだのオランダ民謡だのいじめているうちに
角の生えてちょっと生えて
白髪で隠した鬼ばばあになって
角をさわる癖のついた鬼ばばあに
なっておにおにおにおにしてるうちにワンタン食べて忘れてしまってあの白い包んだ食べ物が何か
春巻が、春巻が、と言いかけて、
なんだかおかしい春一番の吹いた二月ガリガリの鬼歯の入れ歯で
餃子が、餃子が、と言いかけて、
やっぱりワンタンが出てこない

鬼ばばあはだんだん何にも思い出せなくなって鬼にアルバートワルツハイマー4拍取って半音下げてかぶせてまたスープに入れて食べチャウダーな、そしたらまたいじめられて山の中に捨てられて
おにおにおにおにしてるうちに
鬼の骨になって鬼の化石になって
少年に角のかけらを掘り返されるんだな
くそ、こうしてみるとなんだかけっこういい人生だな
だって角の化石はたぶんきっとけっこう大事にされるんじゃないかな