本日の詩

詩なり詩なり

20120408

苺を炊いた清新な香りに
魂がよみがえる
一日の終わりが
曖昧な暮らしを送っていると
この一日この一日が
二度と来ない一日であることを
忘れ果て
安直に
疲れ果て
浅い眠りに朽ち果てる
昨日まで 一昨日まで 先週まで
昨年まで
十年前まで
何かを考えようとしていたのに
決断しようとしていたのに
今や結論の責任と
結果の痛ましさを恐れて
目に見えることばかり
人に言えることばかり
安らかな着地点ばかり
探そうとしている
かような
美しく
醜い
分別を
かつて
大人と呼んでいた事を
春の苺は思い出させる
砂糖と鍋に煮られたら
私など
(完)