本日の詩

詩なり詩なり

20190402

肝臓をいっぱい集めるために
たくさんの人を狩らなきゃならなかった
それでも頑張りましたんですだから
褒めてほしくてしかたがない
へとへとになりながらだってそれを
ぎゅっとつめこんだ缶詰にして
足のわりいおじいちゃんに
届けたかったから
本当の血のつながったおじいちゃん
でもないけど
それで足は全然良くならないんだろうけど
血がつながってたら水虫も一緒に
かかってぱりんこ食べながら
足をマッサージして良くなるかも
しれないけどそんなんじゃないから
無理だおいらは科学的に生まれた
でも
おじいちゃんはこんなにも誰かが
自分のために頑張ってくれたんだって
肝臓するかもしれないじゃないか
それであともう15年くらい長生きして
あのおいしい苺をまた春に作って
くれるかもしれないじゃないか
白と黒のボーダーコリーが
ホラー映画の見すぎでその上おばあちゃんが
ああでもこのおばあちゃんとは
遺伝的に近しいからほぼ親戚でも
エキセントリックなんだってこいつらに
ウィスキーコーク飲ませたせいで
七夕の夜に
白黒の一匹のボーダーコリーに
なってしまった
なのに二人は静かになって
いいやなんて言ってる
けれどこれは完全におかしなことだ
昨日まで白と黒が二匹いたのに
乙姫と彦星がもたもたしている愛だに
夜が明けて朝には白黒が一匹
どうしてグレイにならないんだ
ウィスキーコークだってウィスキーと
コークがまじってる
二匹の好きな映画は違ったのに
これからはどうなってしまうんだろう

そいつが全身の毛をなびかせながら
甘いけど果肉が柔らかすぎて
市場には決して出回らない幻の品種の
苺をおじいちゃんの山の畑で死ぬほど
むさぼってお腹こわして畑のとなりで
こっそり野ぐそをたれたおいらの周りを
ぐるぐる回って隙あらば
苺の汁がついた口の周りをなめようと
飛びついてくるのさ

それがもう10年も前の話
それからおじいちゃんとおばあちゃんに
何が起こったかはめでたしめでたし