肝臓をいっぱい集めるために
たくさんの人を狩らなきゃならなかった
それでも頑張りましたんですだから
褒めてほしくてしかたがない
へとへとになりながらだってそれを
ぎゅっとつめこんだ缶詰にして
足のわりいおじいちゃんに
届けたかったから
本当の血のつながったおじいちゃん
でもないけど
それで足は全然良くならないんだろうけど
血がつながってたら水虫も一緒に
かかってぱりんこ食べながら
足をマッサージして良くなるかも
しれないけどそんなんじゃないから
無理だおいらは科学的に生まれた
でも
おじいちゃんはこんなにも誰かが
自分のために頑張ってくれたんだって
肝臓するかもしれないじゃないか
それであともう15年くらい長生きして
あのおいしい苺をまた春に作って
くれるかもしれないじゃないか
白と黒のボーダーコリーが
ホラー映画の見すぎでその上おばあちゃんが
ああでもこのおばあちゃんとは
遺伝的に近しいからほぼ親戚でも
エキセントリックなんだってこいつらに
ウィスキーコーク飲ませたせいで
七夕の夜に
白黒の一匹のボーダーコリーに
なってしまった
なのに二人は静かになって
いいやなんて言ってる
けれどこれは完全におかしなことだ
昨日まで白と黒が二匹いたのに
乙姫と彦星がもたもたしている愛だに
夜が明けて朝には白黒が一匹
どうしてグレイにならないんだ
ウィスキーコークだってウィスキーと
コークがまじってる
二匹の好きな映画は違ったのに
これからはどうなってしまうんだろう
そいつが全身の毛をなびかせながら
甘いけど果肉が柔らかすぎて
市場には決して出回らない幻の品種の
苺をおじいちゃんの山の畑で死ぬほど
むさぼってお腹こわして畑のとなりで
こっそり野ぐそをたれたおいらの周りを
ぐるぐる回って隙あらば
苺の汁がついた口の周りをなめようと
飛びついてくるのさ
それがもう10年も前の話
それからおじいちゃんとおばあちゃんに
何が起こったかはめでたしめでたし