いわしが塩辛く泳いで
口の中がすっかり渇いた
夢からさめるとのどの渇きは
本物だったから彫られたばかりの
私も木っ端を振り落としながら
台所に行って一杯の水を飲もうと
するとめざましい月明かりに床に
何かが動きを閉じてああこおろぎ
ゴキブリかと思たよと言って水を
飲むとよく言われるけどあんなに早く動けないって見上げてそのコップに鮒がいないって聞くんだ
いないよ(口の中にいわしの泳ぐ
夢は見たけど)それからこおろぎと
少しゴキブリのすごさについて
話し合ったけどやっぱりあいつら
みたいには生きられないねとか
落ち着いて寝床に戻る前に何してるのって聞いたんだちょっとぶしつけではあるけれどまあいいや
こおろぎは待ってるんだって
何をって聞いたら(いやもしかして
朝をとか朝の光をとか言ったら
こんな月の夜のゴキブリ…じゃなかったこおろぎとにふさわしいん
じゃないかと思って)すごく確信に
満ちた音調で緑の帽子をかぶった子がくるから待ってるって言うんだこおろぎはもうあんまり寿命が
ないからその子の帽子のつばに
乗っかって出て行くんだってさ
「そしたらどうなっても飾りみたいに見えるからなかなか良いんじゃないかと思う」ってでもうちに
明日そんな人が来る約束は全然ないしカタツムリすら来ないんだよ
でもこおろぎとはそのことで色々話してもう色々わかったからいい
ただ君に話したかったのはまた
のどが渇くといけないから水の入ったコップを枕元に置いて朝コップの中には小さな鮒がいたってこと金魚くらいのやつね朝台所に
行ってこおろぎに見せたら昨日
言ったよって全然そっけなくて
こおろぎはそんな風だから君気をつけたほうがいいたとえ寿命が
長くないやつでもね、それだけ