中野で乗り換えてＮＹに行く途中
だれもいない車内で
空腹に耐えかねて拙者高校生女子
若い頃はすごかったという
ママの
どうすごかったか知らない
ママの
作った海苔弁の蓋を開ける
ご飯にのっかった海苔が
ふわりと浮いて
車両を流れて
どこに行くの
海苔
だれもいなかったはずの車内で
腕を組んで
目をつぶった中年額広々男性
若い頃はすごかったという
パパに
どうすごかったか知らない
パパに
似ていなくもないその額に
あるいは頭部に
ふわりと付いた
この人も
ＮＹに行くのかしら
この人が目を覚ましたら
拙者高校生
小さい頃は佃煮と漬物が
嫌いだったって
話しかけてみようかしら
