あまやかな午後を見たまえ
公園に飛んでいる蜜蜂を見たまえ
木の陰で倒れている人を見たまえ
きみは最善を尽くしたというのだろう
それでもまだ足りなかったというのだろう
においやかな午後を見たまえ
降り注ぐ日のひかりを見たまえ
きみには想像力があるというのだろう
十分にものを考えているというのだろう
きみにこのドアを開けよう
このドアの向こうには
信じられないほどの困難
信じられないほどの疲労
信じられないほどの屈辱
信じられないほどの苦痛
そこに立って孤独だと泣くことが
すぐにおかしくなるほどの孤独が
その貧弱な人生では想像もつかないほどの
その程度の最善ではそこに存在しないにも等しい
そこで思い出のためにもう少しまどろみたいのだろう
その夢の中では彼もほほえむのだろう
きみは最善を尽くしたというのだろうが
まさかみんなにもそれを認めてもらいたいと
思っては居ないだろうね
あまやかな午後を見たまえ
あそこに倒れている人
あれを見知らぬ他人と思っているわけじゃないだろうね